婚約指輪や結婚指輪に使われるダイヤモンドですが、その産地はどこであるか、ご存知ですか?高いお金を出して購入するからこそ、どこの産地で採れるのか、またダイヤモンドを取り巻く世界情勢はどうなっているのかを、心得ておくのも大切なことです。
紛争ダイヤモンドって何?
「紛争ダイヤモンド」という言葉を聞いたことはありますか?紛争ダイヤモンドとは、紛争が起きている地域から産出されたダイヤモンドの総称です。それだけ聞くと、「購入すれば内戦地の人々の生活が楽になるのでは」と捉える人もいるかもしれませんが、実際はその逆。紛争ダイヤモンドを購入することで、紛争を起こしている反政府組織が武器調達する際の資金源となり、争いを深刻化するリスクがあるのです。
というのも、反政府組織は武器商人から武器を購入する際にお金が必要になるため、宝石鉱山を占領してそこからダイヤモンドを発掘することがあります。ダイヤモンドなどの宝石を売って、武器調達費に充てているのです。その結果として戦争が長引き、死傷者が増えることから「血塗られたダイヤモンド」と呼ばれることすらあります。
なかなかダイヤモンドの産地まで把握することはできないかもしれませんが、知っておくだけでこうしたリスクを防げる可能性が高くなります。紛争ダイヤモンドの産地として有名な国は、アンゴラ、シエラレオネ、リベリア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国など。気になる方は、購入前にダイヤモンドの産地を確認するといいでしょう。
ダイヤモンドの産地はどこ?
ダイヤモンドの産地はどこが有名なのでしょうか。人類最初のダイヤモンド産地はインドだったと言われています。それからしばらくはダイヤモンドの主生産国として知られていましたが、だんだんと他の国でもダイヤモンドが採れるようになり、ダイヤモンドの需要の高まりとともに広がりを見せていきました。
インドでダイヤモンドがあまり発掘できなくなってブラジルが主生産国になりましたが、アフリカ大陸には多くのダイヤモンド鉱山があり、南アフリカで世界最大級の鉱脈が見つかりました。現在も主生産国の地位を守り続けています。
現在もアフリカ大陸がダイヤモンドの産地として有名ですが、他にもさまざまな産出国があります。たとえばカナダやオーストラリア、ロシアなどもダイヤモンドの産地として知られており、中国でもダイヤモンド鉱山が発見されたと言われています。広大な土地を持つ中国産のダイヤモンドも、これからは市場に多く出回るでしょう。
クリーンダイヤに限って取引するブランドも
このような紛争ダイヤモンドの取引にはかかわらず、「クリーンダイヤ」に限って取り扱っているブランドもあります。米国では紛争ダイヤモンドではない、クリーンなダイヤモンドの取引を目指し、関連法案の採択などを行っています。
「世界三大カッター」のブランドの中でも、「ラザールダイヤモンド」のラザール・キャプラン・インターナショナル社は、これらの取り組みに対して全面協力をするなどして、より精神性を高めています。
婚約指輪のダイヤモンド選びを始めるにあたり、世界に広がるダイヤモンドの産地を知ることで、ダイヤモンドへの想いも深くなるでしょう。
コンフリクトフリーなダイヤモンドを購入するためには
紛争ダイヤモンドの購入により紛争を助長させないためには、コンフリクトフリーなダイヤモンドを選ぶ必要があります。
しかし、一体どうすればいいのでしょうか。さきほどご紹介したほかの産地のダイヤモンドを選ぶこともできますが、ダイヤモンドの産地を逐一確認するのは難しい場合もあります。そこで、おすすめの方法をいくつかご紹介します。
キンリバープロセス制度
まずおすすめしたいのが、キンリバープロセス制度の活用です。キンリバープロセス制度は紛争地域のダイヤモンド原石輸入を防ぐために作られた国際証明制度。どうやって紛争地域のダイヤモンド原石を見分けるかと言うと、証明書のチェックです。ダイヤモンド原石を輸入する際は証明書付きのダイヤモンド原石のみに限っており、さらにキンリバープロセス制度に参加していない国からの輸入をしないことで確実に紛争地域のダイヤモンド購入をブロックすることができます。
キンリバープロセス制度に参加している国は、キンバリー・プロセス証明書を発行して添付した状態で輸出入を行い、2000年時点では4%あった紛争ダイヤモンドが、現在では1%以下にまで下がったとのこと。こうした輸出入の管理を行っているキンリバープロセス制度を活用すれば、紛争ダイヤモンドの購入を避けられます。
実際に日本もキンリバープロセス制度に参加しており、基本的に日本で購入するダイヤモンドはどれも紛争ダイヤモンドではありません。
システム・オブ・ワランティ制度
「それだったら、日本で購入する限りはわざわざ消費者側が紛争ダイヤモンドの購入をしないように気を付ける必要はないだろう」と思うかもしれませんが、キンバリー・プロセス制度だけではじゅうぶんではありません。キンバリー・プロセス制度はあくまでダイヤモンド原石の証明制度。ダイヤモンド原石をカットして作ったダイヤモンドルースには適用されていないのです。
ダイヤモンドルースの購入時に活用したいのが、システム・オブ・ワランティという制度です。カットして研磨されたダイヤモンドについてくるインボイス(納品書)に「紛争地域のダイヤモンドではない」といった宣誓文が記載されています。紛争地域の資金提供に加担していないことの証であり、インボイスをチェックすれば紛争ダイヤモンドの購入を未然に防ぐことができるでしょう。
フェアトレードのダイヤモンドが安心
こうしたキンバリー・プロセス制度やシステム・オブ・ワランティ制度はあまり知名度がなく、一般消費者がコントロールしにくいのが難点です。日本ではほとんど紛争ダイヤモンドは流通しておらず手にする可能性は低いのですが、ほかにも気を付ける手段として「フェアトレードのダイヤモンドを選ぶ」といった方法もあります。フェアトレードは公正な取引のことで、適正な価格で途上国の品物を購入します。
フェアトレードのダイヤモンドは、ダイヤモンド採掘に従事している労働者の生活を支援できるというメリットがあります。特にアフリカでは多くの女性労働者が肉体労働をしながらダイヤモンドの採掘をしている地域があり、女性支援の意味でもこうした人々の生活を支援するのはとても大切なこと。もちろん男性でも異国に出稼ぎに出て、ダイヤモンド採掘で稼いだお金を家族に仕送りしているケースもよくみられます。
ダイヤモンドの採掘を行っているグループのなかには高齢化が進行しているグループもあり、けして楽ではない肉体労働が健康をおびやかしていることもあります。アフリカの鉱業コミュニティでは、最低限の衣食住は確保できたとしても、電気が通っていなかったり、安全が確保できていない水を飲み水として飲用していたり、簡易的な家屋に住んでいたりと貧しい生活を余儀なくされている人もたくさんいるのです。治安が悪い地域も珍しくなく、武装警備隊が常に目を光らせていることも珍しくありません。
貧しい環境に置かれている労働者の支援につながるフェアトレードのダイヤモンドを購入することで、こうした現状を少しずつ改善することができます。フェアトレードのダイヤモンドを使用していることを公言しているブランドもいくつかあるので、気になる方はぜひ調べてみてください。
婚約指輪・結婚指輪のリフォームもひとつの方法
あえて新しいダイヤモンドを購入しないのも、確実に紛争ダイヤモンドを購入しない方法のひとつです。婚約指輪・結婚指輪を検討する際は、親など家族が持っている指輪をリフォームして受け継いではいかがでしょうか。大切な思い出の品が生まれ変わり、受け継がれることで指輪に対する愛着もより一層深まります。
今と昔では流行りのデザインも違いますし、経年劣化によって小さな傷や汚れがついていることもあるので、リフォーム時には予算を伝えて理想の指輪に近づけましょう。ダイヤモンドは研磨することで新品に近い輝きを取り戻します。デザインも予想以上に変えられるものなので、自分の好きなデザインを伝えて可能な範囲で近づけてもらうのがおすすめです。
とはいえ、婚約指輪のリフォームにはメリットもデメリットもありますし、どこまでリフォームできるのかも気になりますよね。婚約指輪のリフォームについて、以下の記事で詳しくご紹介しているのでぜひ参考になさってください。
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